ネット販売の光と影

楽天のイベントの破壊力

楽天市場に出店していれば、楽天市場の「全体企画」の恩恵を得られることになります。楽天市場の全体企画は定期的に行われていて、毎回大きな流通金額を記録します。

楽天での効果的な施策としては「クーポン」の発行、そして「ポイント」の付与がありますが、楽天での全体企画の際は、本来は店舗負担で実施するそれらの施策の経費を楽天市場が負担してくれることが多いです。特にCMなどで認知度も向上しつつある「楽天スーパーセール」の際は、ユーザーが特定の条件を満たせばポイントが50倍になるなど、ユーザーにとってはとてもインパクトのある企画なっています。

楽天市場での成功を握る鍵は、上記のような施策を「どれだけ楽天市場担当者と協力できたか」ということになります。どれだけ店舗独自の施策を凝らしても、そのような大規模な楽天の施策には敵いません。楽天市場を使用するお客さんは独特の属性を持っていて、「ポイント」や「クーポン」を使い慣れています。そのようなお客さんに対してどれだけ「商品価値」をそきゅうしても、「50倍のポイント」の威力には敵わないのです。つまり、楽天市場にモール出店するということは、それら「楽天のルール」に則るということであり、ポイントを倍付しなければユーザーは不満ですし、クーポンが発行されなければ「ケチな店舗だ」と思うのです。

楽天市場を使用するユーザーはその多くが少しでも安いもの、少しでも得をするものを購入しようとしています。それらは楽天市場独特のあからさまな「顧客ニーズ」であり、無視をすると全然売れないということになります。楽天市場に出店する以上は楽天市場のトーンマナー、つまり「少しでもユーザーに得をしてもらう」ということを意識する必要があり、それは見せかけではいけません。楽天のユーザーは「何が得なのか」を見極める目を持っていて、それはすぐにユーザーの間でシェアされてしまいます。「この店舗は詐欺だ」と誰かが感じた瞬間に、一気にその店舗は沢山のユーザーから「怪しい」という太鼓判を押されてしまうのです。それはつくはずのポイントがつかなかったり、派手な広告割に全然値引きしていなかったりと、「ユーザーがややこしく感じてしまうような店舗」です。

楽天市場の中では派手な訴求やあからさまな値引き訴求は行いやすいもので、楽天全体のトーンがそれを後押ししてくれることもあり、どの店舗でも派手な打ち出しを行なっています。そして「インターネット」のいいところでもある「誰でもどのようなクオリティでもアピールできる」という点が顕著に現れている部分でもあります。楽天本体側としては、そのような各モール全体が活性化するような施策を導入することで、各モールの流通額を伸ばし、その分「フィー」を支払ってもらおうという思惑があります。

「値段」に優る広告はないといいます。たしかにその通りで、どのような打ち出し、どのような広告よりも「値引き」はとても威力があります。さらに「期間限定」や「個数限定」とすることで、瞬間風速的な売り上げを記録することもできます。楽天市場ではその「顧客にもっとも刺さる打ち出し」をポイントやクーポンで行うことができます。さらにはそれらの経費が楽天負担である機会が結構あるので、利用しない手はないでしょう。