ネット販売の光と影

「間違いない」販促とは何か

ただモノを並べるだけでは、誰も購入してくれることはありません。それが「売られている理由」、そこで「取り扱われている理由」、そしてそれを「ユーザーが買う理由」が明示されていて、見た人が理解できる必要があるのです。

それらの取り組みは「広告」であったり「販促」であったりと、さまざまな呼び方があります。少し前までは、「広告」はその対象の認知を拡大したり、イメージをつけたりするための取り組みで、たしかに販売をアシストするものの、「直接効果」という意味ではなかなか「費用対効果」を追い求めることができないものでした。各メーカーなども「まずは知ってもらわないと」ということで大規模にCMを開始したり、至る所にポスターを貼るなどしたりしたものです。

対して「販促」という言葉はいく分か「販売」に直結した取り組みと捉えられることが多いです。それらは費用対効果を追い求めた合理的なものであることが多く、一定の予算で効果を最大化させるための取り組みです。ただ、それも度が過ぎるとユーザーに「あからさまだ」と感じられてしまったり、「なんだか胡散臭いぞ」という印象に繋がったりします。それらは取り組みが完全に「裏目」に出たということであり、いわゆる「失敗」です。かといってそれらの失敗を恐れて「何もやらない」ということになってしまうとますます何も「売れない」ということになるのです。

ただ並べるだけでも売れない、そしてアピールしすぎても逆効果になるということであれば、どのようにすればいいのでしょうか。その答えは現在のインターネットの文化を把握することでおのずと見えてくるものです。

現在はインターネットで「顔を出す」時代です。シェアする文化が根付いているのです。「これ、いいよ」であるとか、悩んでいる人に対して「こうすると解決するよ」などということを伝えることがメインといってもいいでしょう。さまざまな情報がインターネット上にはあり、それらの情報はそれらを見たい人、知りたい人が接しています。ですが、現代ではそれだけにとどまらないのです。気になった情報、気に入った情報は「シェア」するということ。それが現代のインターネットの真髄です。そのために一部の人をだますような情報は淘汰されます。誰かが「それは嘘だ」と感じたら、その情報は瞬く間に広がるのです。

つまり、「シェアされる」ということを前提として販促を行うことが大切です。それはまるで友人間で「このジョークはウケるかな」と考えるようなものです。「この表現は受け入れてもらえるだろうか」ということです。より「受け手」のことを意識するクリエイティブが必要です。それは「販促」と呼ぶにはふさわしくない考え方なのかもしれません。

一部の人はそれを「コミュニケーション」と呼びます。自社の商品を沢山の人にシェアしてもらおうという取り組み、「これ、好きでしょ?どうですか?」という「提案」。それが現代の販促です。一部の人が情報を持たない人を騙すような取り組みはナンセンスです。フェイストゥフェイスの「押し売り」がナンセンスになったように、「嘘」が混ざったクリエイティブは現代ではナンセンスそのものとして捉えられているのです。