ネット販売の光と影

「楽天ポイント」という仕組み

大手販売サイトの「楽天」ですが、このサイトは多数のモールに出店してもらい、独自の「ルール」に基づいた運営をしています。「楽天」自体の収益は店舗から徴収する「モールとしての出店料」などです。

「楽天」自体が存続するためには、そこに出店しているモールが売り上げを伸ばすことが大切です。楽天は出店するための基本費用、そして販売した金額に対するフィー、さらには楽天サイト内での広告やメール配信に対しての費用から主な収益を上げています。つまり、楽天に出店しているモールが売り上げを伸ばしてくれないことには、どうにもたちいかなくなってしまうのです。

そのためには出店しているモール自体が販促をかけることも必要ですが、楽天としてもユーザーを「楽天の中」で回遊させ、さまざまな買い物をしてもらう必要があります。楽天内で独自の通過などは作ることができませんが、そのかわり各モールで共通で使用できる「楽天ポイント」というポイントシステムを設けています。このポイントは購入時に購入金額に充当することができるポイントです。このポイントの操作によって、楽天のユーザーに対しては大きな販促になります。それは「割引」よりも実はお得で、沢山ポイントがつけばそれは違う店舗で使用することができるようになるからです。

ポイントは「何倍」という施策が一般的なものです。楽天のなかでも大きな売り上げ金額を記録する「スーパーセール」や「お買い物マラソン」などでは、他店舗で購入すればするほどポイントの倍率が高くなるというケースがほとんどです。楽天はその企画によって沢山のモールで複数の買い物をしてもらおうと考えていて、それぞれのモールからの販売フィーを増やそうと考えているのです。その取組によってモール側も普段では考えられないような売り上げ金額を記録できたりします。通常の倍から数倍まで、売り上げ金額が跳ね上がることになります。

そのようなポイントは楽天の常連客にとっては馴染みのあるものです。ルールが若干煩雑であり、理解するまでに少しの時間がかかるものの、それが実際に適用されると「実感」としてユーザーは理解できます。楽天に出店しているモールが気をかけることは、「そのルールを把握している人に対するアプローチ」と、「ルールにまだ馴染めていない人に対する理解の促進」ということになります。それらに対して同時に手を打つことで、楽天全体で実施される施策で大きな効果を産むことができるでしょう。

また、楽天全体でそのような企画を講じていなくても、モール単独で、或いは特定商品だけでもそのような「ポイント施策」を実施することで、既存顧客に対するアプローチの理由になったり、新規顧客に対する広告配信の理由になったりするものです。それらの取り組みを総合して「販促」といいますが、楽天内のモールではそのルールを理解し、いかに顧客に「得」をしてもらうかということを考えることが成功への近道です。楽天の内部で大きな売り上げを上げると、楽天からのモールに対する待遇も変わってきます。広告の枠を無料で提供してもらえたり、さまざまな便宜を図ってもらえたりすることになります。「売れる店舗はより売れる」という良いスパイラルになっていくのです。