ネット販売の光と影

在庫を持たない、ダウンロードビジネス

インターネット回線網が発達し、インフラ化しました。そしてさらに通信速度を「高速化」しようと、各社躍起になっています。それらの回線を十二分に活かすための情報端末も一般化しました。

現在では「同じ情報をいつでもどこでも入手することができる」状態です。少し前までは、「パソコン」と「携帯」が明確に違う頃は、パソコンサイトはパソコンでしか閲覧することができませんでした。そして携帯サイトは各キャリア、各機種に対応したものでなければいけませんでした。ですが現在では違います。「スマートフォン」が発達した現代では、情報量や表現に制約があった携帯サイトはなりをひそめ、「パソコン向け」のサイトをどこでも閲覧することができるようになったのです。それはとても便利なことなのですが、人がインターネットに接する機会を劇的に変えたものでもあります。

スマートフォンを使用するのは外出時が多いものです。外出している際にはいろいろなシチュエーションがあります。移動中であったり、誰かと話していたり、食事していたりと、「インターネット」をしているシーンが特定できないのです。それまで「バソコン向け」サイトであれば、座してパソコンに向かっているユーザーがそこにいることが容易に想定できたのですが、スマートフォンの普及で、どのようなインターネットの楽しみ方をしているのかということがわからなくなりました。

また、同時に「デジタルコンテンツ」をダウンロードするということも一般化しました。いわゆる「アプリ」のダウンロードは、スマホを持つ人であれば誰でも経験したことがある行為でしょう。それに加えて「音楽」や「映像」などのコンテンツもダウンロード購入することができるようになりました。それらは「スマートフォン」単体で楽しむこともできれば、自宅に持ち帰ってPCで楽しんだり、或いは専用の機器を経由してリビングのテレビで楽しんだりと、さまざまな使い方ができるのです。

それらのコンテンツを「いつ」ダウンロード購入するのかということも、もはやわからないということです。パソコン向けサイトは誰でも手軽に見る時代です。じっくり動線を練るのではなく、すぐに探せる仕組みが必要でしょう。また「コンテンツ」などは「今楽しみたい」というニーズが確実にあります。「今友人とシェアしたい」というコンテンツは、即座に探せて即座にダウンロードできるべきです。

情報網と端末という「インフラ」が整備された現在では、あとは「供給のしかた」がモノを言います、物販にくらべてコンテンツ販売は一部の大手企業しか参入できていません。ですがモバイル時代に突入した頃から「在庫を持たないデジタルコンテンツ販売」の良さを知る人は沢山います。ただ仕様としてアプリは専用サイトからしか落とせなかったり、音楽ファイルにも形式があったりするなど、さまざまな技術的課題があるのです。それらをクリアすることで、一歩ユーザーの「便利」に近づくことができます。「すぐ聴きたい」、「すぐ観たい」という要求は今後ますます高まっていきます。大容量データをやりとりするための基盤は出来上がりつつあるので、デジタルコンテンツ販売は可能な限り視野に入れたいところです。